【海外旅行】空港の税関でトラブルに巻き込まれないために気をつけること

空港の税関、みなさんはどんなときにお世話になった記憶がありますか?

私の例では、ヨーロッパへ旅行したとき免税手続きのときだけ立ち寄る程度で、日本への帰国を含むどの国の入国時にも、税関申告書はいつも「申告なし」との記載をしてスルー、です。

 

しかしよく調べてみると、私もこれまでは運がよかっただけで、実は誰にでも申告漏れの罰金などがふいに科せられる恐れがあったことに気づきました。

「知らなかった」では済まされない、それで困るのは自分自身です。

すべてが自己責任となる海外旅行。海外旅行が初めての方から頻繁に旅行する方まで、ぜひ知っておいたほうがよいこと、トラブルに巻き込まれないための工夫についてご紹介したいと思います。

 

なお、旅行に関連した空港での手続きということでよく混同されるようなのですが、「セキュリティ・ゲート」と「税関」と「植物/動物検疫」は、機関も目的も手続きも別です。今回は「税関」についてのお話です。

 

税関はそもそも何のために必要なのか

 

税関は、輸出入の手続きが正しい方法で行われているかを検査し、必要な税金を徴収する機関です。輸出入が禁じられている品が違法に流通していないかどうか、また課税対象のものに正しく課税されているかなども取り締まっています。

 

・悪いことをしようとする人がときどき混じっているから

輸出入と聞いても規模が大きいイメージで一般の旅行者には縁遠いような気がしてしまいますが、海外旅行の際には旅行者にも、出入国の際に税関の検査を受けることが義務付けられています。

個人でも免税範囲を超えた分は納税する義務があります。また、商業目的の品物を一般旅行者に混じって合法的に飛行機で運ぶ人もたくさんいます。そのような人達がするべき手続きを正しく行っているのか確認されているわけですね。

 

また、ときどき違法なことをしようとする人もいます。そのような取り締まりもされています。

福岡空港では先日(2017年4月)、韓国から6キロの金塊を税関に無申告で密輸しようとした韓国人4人が再逮捕された事件がありました。

日本の税関と消費税のしくみを悪用した犯罪である金塊の密輸は、闇ビジネスとして成長しており問題になっています。金は麻薬などとは異なり輸入禁止品ではありませんし、所持することも違法ではありません。持ち込む量が少なければ隠すことも簡単。このため一般旅行者が安易に運び役を引き受けているケースもあるそうです。

「旅行もしつつ報酬ももらえる商品の運び役」と聞けば、旅行好きには憧れの仕事かもしれませんが、犯罪に加担するようなことは絶対にならないようにしたいものです。

 

・品物だけでなく現金も検査対象

国際的な犯罪やマネーロンダリング防止などの目的で、多額の現金を国外に持ち出したり、国内に持ち込んだりするときにも申告が必要です。

例えば留学などで長期滞在する予定があって、現金の持ち出し方法を考えている方は要注意です。100万円以上の現金を持って行く場合は、日本出国時と渡航先の国に入国時、両方の税関でそれぞれ申告が必要です。

 

先の金塊密輸未遂事件が起こったのは4月13日(この犯人グループがこの件で逮捕されたのは5月24日)、そのすぐ後の4月20日には同じ犯人グループが、現金約7億3千万円を無申告で福岡空港から国外に持ち出そうとしたところを見つかって起訴されています。また、同日に福岡市内で金塊買い付けのための現金が強奪される事件が起きるなど、2016年夏ごろから金塊と多額の現金がからむ事件が国内で頻繁に起きています。そんなこともあって空港の税関検査が一段と厳しくなったところだったのでしょう。

おかげで悪い人が捕まったのはよかったですが、急に厳しく念入りに調べられることになって戸惑った、普通の善良な旅行者の方も多数いると思います。

 

このようにある日から突然検査が厳しくなることは、いつでも起こり得ることです。セキュリティ・ゲートでの持ち物検査も、テロ関連事件があるたびにちょっと変わった検査が急に追加されて、念入りにチェックされるようになったりしますよね。

税関検査についても、犯罪の摘発や防止と深く結びついています。「自分にはあまり関係ない」とは思わず常に正しく申告すること、検査を求められたら協力することを心がけていたほうがよいでしょう。

 

旅行者として気をつけなければならないこととは

 

悪いことをする気などなく「知らなかった」だけでも、もし見つかったら課税されて、さらに運が悪ければ「申告逃れ」だとの指摘をされて罰金まで科せられる恐れが誰にでもあることは、旅行者として知っておくべきことです。

 

2012年8月ドイツのフランクフルト空港で、日本人の演奏家の方が、時価1億円のバイオリンを持って税関の「緑(申告なし)のゲート」を通った際に税関係員に止められ、ベルギー在住者であったことから輸入関税1900万円と、正しく申告しなかったことへの罰則金の支払いを求められ、その場で支払えなかったことで楽器を没収されるという事件がありました。

また、このバイオリンが無償で本人に返還された直後にまた、別のドイツ在住の日本人演奏家が、今度は1億2000万円の支払いを求められてバイオリンを没収されています。

 

特に2回目の事件のときは、その方が輸入販売の目的はないとの証明書類はきちんと持っていたにもかかわらず、税関は「販売の可能性あり」として課税対象だと判断したそうです。税関検査が厳しくなったのだとしても、なんだか不当ないいがかりをつけられた感も否めませんね。

 

なお2回目の事件のバイオリンも、無事本人に無償で返還されましたが、ドイツ税関の対応が不当だったのではないかと大きな問題に発展しました。この騒動を受けて、翌年11月にはEU税関規定が一部改正されて、「職業上使用する楽器で一時的に輸入される場合に限り申告不要」となったのですが…。

楽器「だけ」申告不要にすれば今後問題は起きなくなるものなのでしょうか?

場当たり的な対応をしただけのようにも見えますよね。

 

・一般旅行者が「申告逃れ」を指摘されそうなケースとは(ドイツの例)

とにかくドイツの空港の税関検査が厳しくなったのは、事実であるようです。高額な楽器を持ち歩く演奏家の方だけでなく一般旅行者も、パソコン、カメラ、スマホなど持ち込む場合の購入時価格には注意が必要です。

 

在ドイツ日本大使館のサイトには以下の説明があります。

総額で430ユーロ相当以上の物品(201210月現在)」には申告が必要。

しかも「純粋に個人的使用のために持ち込む場合を含む」とのことです。

(出典: http://www.de.emb-japan.go.jp/nihongo/konsular/oshirase-nakami/121022zeikan.html)

 

1ユーロ130円と考えると430ユーロは約56,000円です。実は申告しなければならなかった人、けっこう多いと思いませんか? 私も旅行にはパソコンを必ず持って行きますしドイツの空港は何度か利用していますが、未申告で通ってしまったことになります…。

 

例えば緑のレーンを通ったとき税関係員に止められて、持っているパソコンの値段を聞かれたようだけどよく聞き取れない、うまく説明できないうちに「申告逃れ」と決めつけられてしまうと、罰金が科せられてしまうかもしれませんよね。

 

ドイツ連邦共和国大使館・総領事館のサイトの説明によると、「特に価値の高い日用品を持ち込む場合など、ドイツ税関が求めた場合には、書面による申告をしなければなりません。」とのことです。

(出典: http://www.japan.diplo.de/Vertretung/japan/ja/03-konsular-und-visainformationen/033-zoll/Zolleinreise.html)

 

パソコンもデジタルカメラも最近は価格が下がっているので、430ユーロ相当以下も充分あり得ます。この場合は申告はいらないことになりますが、摘発を狙っている意地悪な税関係員に目をつけられてしまった場合は、きちんと説明できないと、申告逃れだということにされてしまう可能性があることは、覚えておいたほうがよいと思います。

 

高そうに見えるものや入国先で転売の可能性を疑われそうなものを持ち込むときは、実際は430ユーロ以下であっても「申告あり」の赤のレーンを通り、係員に実物と、価格を証明できて私物であることが分かるものを見せて相談してみるようにしたほうがよいかもしれません。

 

・トラブルに遭わないために、事前に用意できることとは

持ち込む物品の購入時の価格を証明できる書類は、できるだけトラブルに巻き込まれないためにも必ず用意しておいたほうがよいです。

ちなみに英訳は必ずしも必要ではないと私は考えています。世界中で空港の職員全員が英語を必ず理解できるわけではないためです。

内容全体がその国の言葉に翻訳されていなくても、メーカー名や品番などの英数字が一致していて価格や購入時期が分かるお店発行のレシートや保証書、Eメールの履歴などあれば、証明書類として通用する可能性は高いです。

一度データ化してパソコンやスマホに保存しておけば、その後の旅行中ずっと安心です。証明の必要性が出てきたときすぐ出して見せられることになりますね。

 

なおもし、お店のレシートは捨ててしまって、価格が分かるものが手元にない、という場合は自分で作成してもよいと思います。だいたいの価格はネットで簡単に調べられますよね。

税関係員も、短期間で帰国することが分かっている一般の観光旅行者には、そこまで厳しくすることは稀でしょう。製品名、購入年月、購入時の価格がだいたい分かるレベルの持ち物リストを作って持っておけば大丈夫だと思います。

「証明に使える書類を出せる」ことで、不正をしようとしているのではないとのアピールができますから、それだけでも大きな意味があります。

 

なお、税関で課税されるのはその品物をその国に置いて帰国するときだけで、

私物であって帰国時に持って帰るものは非課税です。

いったん怪しまれてしまってから私物だと証明するのはなかなか難しいですが、例えば購入時の箱に入っていて新品に見えるようなものは販売目的だと怪しまれるようなので、箱は持って行かないようにしましょう。使用中である、使い古し感があるようにするとよいようです。

 

以下に、世界で通用する「私物の持ち物リスト」の様式を作ってみましたので、ぜひ参考にしていただければと思います。

なおこちらは、主には税関申告書がない国向けです。所定の申告書の用紙がある国の場合は、必ずその申告書に直接記入してください。

ちなみにこの持ち物リストは税関だけでなく、万一スリや盗難などに遭ったときに、現地警察に被害届を出してポリスレポートを発行してもらうときや、海外旅行保険の保険会社に提出する保険金請求の書類を作成するときにも役立つと思いますよ。

 

 

トラブルに巻き込まれたときに、助けを求められる先を知っておくことも重要です。税関トラブルで、できる限りのことはしたけれどどう考えても理不尽な状況、言葉も不自由で状況不利、となったら現地の日本大使館・領事館に連絡してもよいと思います。

 

言葉が分からない問題は、特に海外旅行経験の浅い人には大きな恐怖でしょう。私は幸い英語でなら旅行中のトラブルを切り抜けられる程度の自信はついているのでなんとかなると思えるのですが、言葉が不安なうちは、パッケージツアーなどを利用して団体行動することも、攻撃のターゲットにされないための対策としてはかなり有効であると考えています。

 

基礎知識: 入国時の税関と出国時の税関

 

旅行中の税関の手続きは、日本と旅行先の国の両方で必要です。

なお、乗り継ぎで通過するだけの国で税関検査もあるかどうかは、一概に言えません。

 

乗り継ぎだけでもアメリカ入国許可のスタンプが押されて税関検査はないグアム、でもアメリカ国内で乗り継ぎカナダへ行く場合は、アメリカとカナダ両方で入国審査と税関検査があるようです。また、オーストラリア・シドニー乗り継ぎで他国へ行ったときは、入国審査も税関検査もありませんでした。

また、ヨーロッパのように最終目的地が他の国でも乗り継ぎ地で入国審査と税関検査を行うところもあります。

 

なんだか面倒くさそう?でも実際には、いつどこが税関検査だったのかよく分からないうちになんの問題もなく通過してしまうことがほとんどなので、心配しすぎる必要はないです。

先に書いた「もし聞かれたときに証明できる書類」を準備しておく。そしてそれでも理不尽なトラブルに発展しそうになったときには、その場から現地の日本大使館・領事館に電話すれば日本語で助言を得られる。この2つを知っておけば、たいてい大丈夫だと思います。

 

さて次は、税関で必要な申告内容について、海外旅行の実際の行動順に沿って説明してみたいと思います。

 

  1. 日本出国時には税関に何を申告するべき?

「以前買った外国製品で、今回旅行に持って行くもの」を「外国製品持出し届」という書類に記入し、税関に提出します。

この申告手続きをしておかないと、帰国時に今回の旅行で買ってきたものとの見分けがつかなくなり、税関検査の対象品にされてしまいます。それによって免税範囲を超えてしまうと課税されてしまいます。

 

なお、現地でほとんど買い物をしないことが分かっている旅行のときや外国製品を持って行かない場合には、この申告手続きは必要ないことになりますね。

 

  1. 外国に到着するときに提出が必要な「税関申告書」とは

機内で用紙が配られて記入する入国審査書類のひとつは「税関申告書」です。旅行先の国の税関の決まりによって、申告が必要な物品も変わります。

 

なお、英語版の書類で書き方が分からないときに、日本語の解説を確実に見られるのは、「地球の歩き方」など本になっているガイドブックです。スマホより確実で早いです。覚えておきましょう。

 

なお、ヨーロッパの多くの国には税関申告書がありません。ないからといって申告しなくてよいわけではないのですが、申告漏れになっている人はかなりいると思われます。そして申告の必要性を知らないままでいると、ふいにフランクフルト空港のバイオリン事件のような大変なことになる場合もあるわけですね。

 

申告するものがあれば検査を受けて係員の指示に従い、申告するものがない場合は、空港出口で係員に書類を渡して終了です。

 

  1. 外国から出国するときの「免税手続き」について

現地滞在中に購入したものについて、その国の消費税や付加価値税などが免税になることがあります。ただし免税制度がない国も多いです。

 

旅行者向け免税店で免税価格で購入した場合は、空港での税金関連の手続きは必要ありません。空港で搭乗直前に、代金支払済みの免税品を受け取ることになっていたりしますね。(ハワイ、グアム、韓国など)

 

空港で免税手続きと税金の還付が行われる国では、免税手続きに対応している店舗で「免税対象価格」を満たす買い物をして、店舗で免税書類を作成してもらい、空港の税関でその書類にスタンプをもらって税金の還付を受けます。

 

乗り継ぎの関係で複数の国で買い物する機会も多いヨーロッパの場合、手続きは複雑です。国ごとに「免税対象価格」が異なりルールもよく変わります。買い物を始める前に最新のルールをすべて頭に入れておかないと効率のよい免税は受けられない現実もありますが、帰国時の空港で手続きすることで付加価値税VATの還付を受けることができます。なおVATの税率も国によって異なります。

これらの詳細は、裏技的な効率のよい手続き方法などと一緒にまた別の機会にご紹介したいと思います。

 

  1. 日本帰国時の税関。ここですることは?

外国で免税手続きしてきたかどうかは関係なく、日本の税関で改めて日本の法に基づいて持ち込み品の申告をします。

 

日本への帰国便では、日本の税関に提出する書類「携帯品・別送品申告書」が配られますので記入します。免税範囲は、合計20万円までの品物、酒類は3本、たばこ200本、香水2オンスなどとなっており、これを超えるものがあれば税関への申告と納税が必要です。1品が20万円を超えるものにも課税されます。

 

なお「別送品」とは、帰国の荷物が多すぎて飛行機に持ち込めず、現地から日本の住所宛てに送る荷物のことで、日本の税関に申告すると免税の対象にしてもらうことができます。

申告をしないと、その荷物が日本に到着した際に内容物に基づいた関税が自動的に課せられてしまいます。

実際に私は、留学先から教科書や日本から持参したDVDを日本に送った際、別送品にすると送料が高かったことで別送品申告をしない宅配便にしたところ、5,000円も課税されてされてしまったことがあります。

別送品分が非課税になるのは外国から帰国する者だけの特権です。ぜひ申告して特権を利用しましょう。

 

別送品や課税されそうなものがあれば申告書に記入しておき、入国審査のあとの税関検査で係員に判断してもらいます。

 

まとめ

「あまり深く考えなくても『申告なし』の緑のゲートに並べばとりあえず大丈夫」と思い込んでいる人は多いと思います。実は私もこの記事を書くまではそうでした。

一部情報によると、「ドイツの空港税関が厳しいのは、日本人でもヨーロッパ在住者に対してだけ」とされていたりもするため、この記事の内容自体心配しすぎなのかもしれません。でも万一のときの対処方法をできるだけ多く知っておくことは無駄にはならないと思います。

 

在ドイツ日本国大使館サイトには、「ご自身の過去の経験(他国での経験を含む)、根拠の希薄なアドバイス、思い込みといった曖昧なものに頼ることなく、ルールに従った正確な申告を心がけてください。

との注意が明記されています。それが一番重要なのだと思います。

 

一人でも多くの旅行者の方がこの記事を読んで、税関でのトラブルに遭うことなくこの先の旅行を無事に終えられることを願いたいと思います。

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